電子的記録における、データの真実性の確保のための、具体的に必要な対策とは?

電子取引の取引情報の電気的記録においては、検索機能と、データの真実性の確保の対策が、実務上、重要であることは、既に過去の記事で説明し、また、検索機能の具体的な要件については、こちらで説明しました。

denshityobohozon.hatenablog.com

 

今回は、データの真実性の確保のために、必要とされた具体的な対策について、説明しますが、その点については、電子取引関係の一問一答の【問22】で、解説されています。

https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/pdf/0021006-031_03.pdf

 

そして、【問22】の回答では、以下のような条件のうち、いずれかの実施が求められています。

 

1 タイムスタンプが付与されたデータを受領(規4①一)
2 速やかに(又はその業務の処理に係る通常の期間を経過した後、速やかに)タイムスタンプを付与(規4①二)
※ 括弧書の取扱いは、取引情報の授受から当該記録事項にタイムスタンプを付すまでの
各事項に処理に関する規程を定めている場合に限る。
3 データの訂正削除を行った場合にその記録が残るシステム又は訂正削除ができないシステムを利用(規4①三)
4 訂正削除の防止に関する事務処理規程を策定、運用、備付け(規4①四)

 

 

これらのそれぞれの内容を確認する前に、それぞれの対策に関する経済的コストの順位について、個人的に予想すると、以下の通りです。

 

コストの高い順

3>2>4

 

なお、1は入っていませんが、これは、文章の通り、電子取引情報データの送信者側の問題であり、受信者側ではないので、除外しています。

 

話しは、戻しますが、3に対応したシステムを自社開発、あるいは、そのシステムをクラウトサービスとして利用を思った場合には、個人的な予想では、現時点では、相当の経済的コストが生じることが予想され、特に、中小企業においては、この対策のために、3によって対応することは、現実的ではありませんので、説明はしません。

 

次に、2については、文章の通りですが、そのデータに、速やかに、タイムスタンプ、というものを押した上で、データ保存しなさい、と言っています。

 

ここで、タイムスタンプとは、私も使ったことがないので、具体的にどのようなものか、分かっていませんが、【問35】では、以下のように、定義づけられています。

 

タイムスタンプ・・・

タイムビジネスの信頼性向上を目的として、一般財団法人日本データ通信協会が定める基準を満たすものとして認定された時刻認証業務によって付与され、その有効性が証明されるもの

 

語弊を恐れずに説明すれば、簡単に言えば、有効な時刻認証の証明を担保する電子的なスタンプ、でしょうか。

 

つまり、保存対象になる電子取引情報の電子データに、速やかに、時刻認証証明を付しなさい、ということだと思います。

 

重複しますが、私も使ったことがないので、どのようにするのか全く想像できませんが、検索し、想像する限り、タイムスタンプを付すためのソフト、または、サービスを利用して、対象データに対して、処理を行うものと思われます。

 

タイムスタンプによる対策も、手続的には、簡単そうですが、問題になるのは、その導入と運用の経済的コストです。

 

タイムスタンプのためのソフト等は、現時点では、それほど多く存在していないようですが、そのソフト等を購入するだけで、安くても数万から十数万、中には、月額料金が発生し続ける業者もあるようです。

 

 

最後に、4についてですが、これも文章の通りですが、この保存に関する規定を策定し、運用し、備え付ける、というもので、その具体例については、【問24】で、紹介されています。

https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/pdf/0021006-031_03.pdf

 

 

規定の例示については、各々、ご確認頂きたいですが、個人的には、こんな規定を準備するだけで、データの真実性の確保ができるのか、と疑問も持ちますが、国税庁が、このような形での整備、運用でもよしとすると、公に認めているので、この対策でも問題はないと考えれます。

 

そして、この4の規定による対策が、最も、経済的コストが低いことから、中小企業においては、この対策が最も多く採用、利用される可能性が高いのではないかと、個人的には、予想します。

 

 

以上からすると、データの真実性の確保の対策として、経済的コストの観点から、中小企業において採用し得るものは、

イムスタンプを押す方法

事務処理規定の整備等による方法

のいずれかだと個人的には思います。

 

なお、電子取引情報の電子データの保存義務は、そのデータの受信者側だけではなく、実は、送信者にもあります

 

つまり、例えば、売上の請求書について、紙で送ることなく、メールに電子データを添付して、相手先に送るような場合には、送信側である事業者も、その電子データを、送信者側として、電子的に保存することが必要になります。

 

その場合、受信者側の相手側からは、電子取引情報の電子データを送られる場合には、送信者側で、タイムスタンプを押してから送信してください、という依頼を受ける可能性も考えれます。

 

したがって、売上の請求書に関して、電子取引情報として電子データにより送信される方で、上記のような依頼を受信者から受ける場合には、送信者が、送信する電子データに、タイムスタンプを押さなければならないので、そのために、タイムスタンプのソフト等を準備される方におかれては、受信者側としても、タイムスタンプを押す方法を採用することも合理的かもしれません。

 

 

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