電子帳簿保存法(2022年施行)の適用対象となる、電子取引とは、どのような取引なのか?

どのような取引が、電子帳簿保存法(2022年施行)の適用対象になるのかについては、

電子取引関係の一問一答の【問2】から【問8】において、解説されています。

https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/pdf/0021006-031_03.pdf

 

 

特に、【問2】においては、このように解説されています。

 

「電子取引」とは、取引情報の授受を電磁的方式により行う取引をいいます(法2五)。


なお、この取引情報とは、取引に関して受領し、又は交付する注文書、契約書、送り状、領収書、見積書その他これらに準ずる書類に通常記載される事項をいいます。
具体的には、いわゆるEDI取引、インターネット等による取引、電子メールにより取引情報を授受する取引(添付ファイルによる場合を含みます。)、インターネット上にサイト設け、当該サイトを通じて取引情報を授受する取引等をいいます。

 

 

また、【問4】においては、具体的に、以下の取引が、電子取引に該当すると回答しています。

 

⑴ 電子メールにより請求書や領収書等のデータ(PDFファイル等)を受領
⑵ インターネットのホームページからダウンロードした請求書や領収書等のデータ
(PDFファイル等)又はホームページ上に表示される請求書や領収書等のスクリー
ンショットを利用
⑶ 電子請求書や電子領収書の授受に係るクラウドサービスを利用
⑷ クレジットカードの利用明細データ、交通系ICカードによる支払データ、スマー
トフォンアプリによる決済データ等を活用したクラウドサービスを利用
⑸ 特定の取引に係るEDIシステムを利用
⑹ ペーパレス化されたFAX機能を持つ複合機を利用
⑺ 請求書や領収書等のデータをDVD等の記録媒体を介して受領

 

 

つまり、語弊を恐れず簡単に言えば、インターネットを通じてのみ、取引情報を提供される取引が、電子取引に該当する、と考えられます。

 

一方、従来通り、紙によって取引情報が提供される場合は、この法律上の電子取引には該当せず、紙によって提供された取引情報を、従来通り、紙によって保存することになります。

 

 

そして、【問1】では、その電子取引に該当する場合には、その取引情報を、電子的記録に保存しなさい、とされています。

 

これが、2022年より施行される電子帳簿保存法における、最も重要な部分だと、私は考えています。

 

このような電子取引は、現在も数多くされていると思いますが、2021年までは、その取引記録を、紙に印刷して保存することが容認されていましたが、2022年以降は、その容認が認められなくなり、電子的記録に保存しなければならなくなったということです。

 

 

ここからは、私見ですが、これまでの通り、電子取引の範囲は、かなり広いと理解することが重要だと思います。

 

その理由は、適用対象になる電子取引の電子的記録の保存に、漏れが生じないようにするためです。

 

厳密には、この法律の適用でない取引についても、電子的記録に保存していても、それは、過大な対応であり、国税庁が否定するものではないのではないでしょうか。

 

一方、その逆に、本来、この法律の適用対象となる電子取引であるものについて、そうではないと勘違いしていたために、電気的記録に保存していない場合には、その程度によっては、法律違反と認定され対応されることが考えれます。

 

特に、資源の限られる中小企業において、どれが、電子取引に該当するのかの判定に、時間を費やしている余裕はないと思います。

 

そうであれば、電子取引の範囲は広いと考えておき、保存対象を広く認識しておくことの方が、リスクを低減できると思います。

 

 

最後に、適用対象になり得る電子取引に関して、具体的に想定してみました。

・メールに添付されてくる請求書等

・アマゾンや楽天等その他を含む、オンラインショップのサイトから発行される領収書等

・インターネットファックスに送られる請求書等

クラウドサーバーやクラウドサービス等を利用している場合で、そのサービスから電子的に発行する請求書等

電子マネーで決済した電車料金の領収書

・クレジットカード払いをしているETC高速料金の領収書

・PDF等、電子データで提供される光熱費(電気、ガス、その他)、通信費(固定電話、携帯電話、インターネット料金、ドメイン料金、その他)の領収書等

・メルカリ等の電子取引を利用した場合の受信メールや領収書等、(恐縮ですが、メルカリ等を利用したことがないので、どのようなデータが届くのか、理解していませんので、完全に個人的予測です。)

・アプリを利用した取引で、受信メールや領収書等がない場合には、取引情報がわかるスクリーンショット

 

 

この他にも考えられると思いますが、これだけでも、相当多いです。

 

何が対象になるのか、その範囲を具体的に洗い出すことと、対象に関しては、追加されることも考えれますので、定期的に、見直すことが重要だと思います。

 

 

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